こんなコンサート行きました「トリトン晴れた海のオーケストラ」第11回演奏会

トリトン晴れた海のオーケストラとは

2022年10月1日に東京晴海にある「第一生命ホール」で行われた、「トリトン 晴れた海のオーケストラ」の第11回演奏会を聴いてきました。この「トリトン 晴れた海のオーケストラ」という名前を知っている方はかなりコアなクラシックファンの方だと思います。正直言って私も聞いたことがありませんでした。HPによると2015年にNPO法人トリトン・アーツ・ネットワークが立ち上げた室内オーケストラです。メンバーも少数精鋭で室内楽以上、大規模オーケストラ未満の大きさです。そのため今までの演奏曲目はモーツァルトからベートヴェンの時代の曲が大半となっています。指揮者は置かずにコンサートマスター矢部達哉氏が演奏をまとめています。ご存じの方も多いと思いますが、矢部達哉氏は東京都交響楽団のソロ・コンサートマスターとして活躍されている方です。その関係もあるのでしょうか、このオーケストラのメンバーの多くは東京都交響楽団に属しています。先ほど、室内楽以上、大規模オーケストラ未満と書きましたら/が、今回の弦の演奏者は約20名で、その内東京都交響楽団のメンバーは矢部氏を含めると10名います。それ以外は東京交響楽団NHK交響楽団などに属しながら、「トリトン 晴れた海のオーケストラ」の活動も行っているようです。今までは年2回の公演を行ってきており、今回は第11回目の演奏会でした。

ベートーヴェン「大フーガ」変ロ長調 op133

今回の「大フーガ」は弦楽四重奏曲第13番の第3楽章を、弦楽オーケストラ用に編曲されたバージョンです。本来4人で演奏する弦楽四重奏曲を20人で演奏するのですから、かなり迫力のある内容に仕上がっています。また弦楽四重奏では入っていないコントラバスのパートも加えられた曲ですから、より一層重厚な音のハーモニーが続く曲となっています。1曲目を聴くまで「トリトン 晴れた海のオーケストラ」のメンバーのことを何も知らなかったので、初めの音を聴いたときのとても素晴らしい音合わせだなと感じました。パンフレットをよく読んでみると、メンバーの半数が東京都交響楽団のメンバーということでしたので、呼吸もぴったりなのはなるほどと納得しました。

モーツァルト ピアノ協奏曲第9番 変ホ長調 「ジュノム」K271

今回のコンサートを聴きにきた一番の目的である、小林愛実さんの登場です!この日の演奏会は元々14時開演の1回だけの予定のようでしたが、チケットが完売のため急遽18時開演の、1日2回公演になりました。ハルは2回目の18時開演を聴いたのですが、ほぼ満席の状態でした。「トリトン 晴れた海のオーケストラ」の過去の公演のお客様の入り具合はわかりませんが、今回の1日2回公演になったことと、2回目が満席だったのはおそらくですが、小林愛実さんの演奏目当ての方が多かったのではないかと予想されます。

「ジュノム」はモーツァルトのピアノ協奏曲の中では初期に属しますが、よく知られた曲の割にはそれほど演奏される回数は多くないような気がします。小林愛実さんも今回初めて弾くとHPで書いていました。演奏はいうまでもなく素晴らしく、ずっと聞き入ってしまいました。演奏後の拍手もかなり大きく、小林さんも満足そうに見えました。この後アンコールが1曲あったのですが、お客様の期待を感じ取ってなのかはわかりませんが、ショパン24の前奏曲の第17番です。ご存じのように小林愛実さんは昨年、ポーランドの首都ワルシャワで開催された第18回ショパン国際ピアノコンクールで第4位に入賞されました。このコンクールはショパンピアノ曲だけで勝負をするという、他にはない特徴があります。このコンクールで上位入賞するといわゆる「ショパン弾き」というネームが付くケースがままあります。それを避けたのがマウリツィオ・ポリーニです。彼は1960年に開催された第6回のコンクールで第1位となりました。しかし自身の研鑽と、「ショパン弾き」のレッテルを貼られるのを避けるために、コンクール後約10年間はイタリア国内で演奏活動を行っていただけという逸話があります。小林愛実さんもショパンはもちろん好きな作曲家だとは思いますが、アンコールでショパンを弾くかどうかは迷ったのではないかと勝手に推測しています。

モーツァルト 交響曲第36番 「リンツ」K425

休憩後は「リンツ」です。この曲はよく演奏されるので、皆さんも聴く機会が多いのではないでしょうか。トランペットも入ってステージ上には約30人の演奏者です。モーツァルトからベートーヴェンくらいの時代では、この程度の大きさのオーケストラが標準だったのではないでしょうか。ハルもモーツァルトベートーヴェンは好きですし、ショパンもとても好きな作曲家です。バッハもよく聴きます。演奏はとても素晴らしく、楽しく聴くことが出来ました。座った席は2階の左側だったのですが、全体を見回せる席だったのでどこに注目しようか目移りしてしまいました。また、2曲目の小林愛実さんの演奏の際は斜め後ろ上から見下ろせたので、指の動き(そこまで視力はよくないのですが・・・)までよく見えて、いい席に座れたと一人ほくそえんでいました。ハーモニーもいつも同じ楽団で演奏している人達が多いのでとても美しく、そしてラストはとても力強く、元気をもらって曲を聴くことが出来ました。

おまけ 気づいたこと

今回の公演ではオーボエのオリジナルメンバーの広田智之氏が体調不良のため出演しておらず、代わりに荒木奏美さんが出演するということが入口で配られていたチラシに記載されていました、経歴を見ると東京藝術大学在学中の21歳の時に東京交響楽団のオーディションに合格し、2015年6月から主席オーボエ奏者として活躍されている方でした。モーツァルトの2曲は両方ともオーボエが入っているので注目して聴いていましたが、荒木さんのオーボエがとてもよく聴こえてソリストとしても十分活躍できる人なんだろうと納得して聴いていました。今後、名前を聞く機会が増えることを期待しています。

リンツ」の演奏が終わった後、アンコールがあるのかと思って拍手をしていたのですが、数回のカーテンコールの後終了してしまいました。短い曲でもいいでのアンコールがあればよかったのにと思いました。でもカーテンコールの際に小林愛実さんも再度舞台に出てきてくれたので嬉しかったです。

次回の演奏会は2023年1月21日(土)に、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番と、同じくベートーヴェン弦楽四重奏曲第14番の弦楽オーケストラ版です。ピアノは小山実稚恵さんです。行ってみようかなぁ。行ったらまた報告します!