美術館・博物館に行ってみた。No.3「諸橋近代美術館」ダリ好き必見!

ダリ好き必見です

会社の夏季休暇を利用して「諸橋近代美術館」に行ってきました。どこにあるの?と思われる方も多いかと思います。ハルも数年前までは全く存在を知りませんでした。場所は福島県北塩原村桧原字剣ケ峯1093番23にあるのですが、住所を見てもよくわからないと思うので、猪苗代湖近くの会津磐梯山の横にあるといった方がわかりやすいと思います。開館は1999年6月。創設したのはスポーツ用品販売で知られた「ゼビオ」の創立者である諸橋廷蔵氏。彼のコレクションを中心に設立された財団が運営しています。そしてこの美術館は会津磐梯山の近くにあるため冬は雪が積もるため、開館期間が春から秋までの開館となっていて、今年は2022年4月27日から11月13日までだそうです。

何といってもこの美術館の見どころは、シュルレアリスムの巨匠、サルバドール・ダリの作品です。絵画はもちろんブロンズ像なども含めて何と約340点を所蔵しています。ダリは多作のアーティストとして知られていますが、ダリの収蔵数は世界で4番目に多い美術館だそうです。もちろん日本では一番です。

今年の展示は

今年は館内を6つの区画に分けて、学芸員がテーマを決めて展示内容を変えていました。まず、ROOM1は「コレクター」。創業者の諸橋氏は美術館が開館する前から当然コレクションをしていたのですが、彼の作品への思いを中心に展示されており、彼がダリの作品を収集しようとしたきっかけとなった「ダンス(ロックンロール)・セブン・ライブリー・アーツ」が一番初めにあります。ダリの圧倒的なアイデアとテクニックがつまった作品で多くの人の目を引いていました。この部屋にはダリ以外にピカソシャガールルノワール、そして藤田嗣治など多くの著名な近代西洋絵画が展示されています。ROOM2は「ダリ」。この部屋はダリの作品がほぼ全てに近くを占めているのですが、多くの人がイメージするダリの作品とはかなり違っていると思います。ダリにとって母親はとても重要な存在で、母親の肖像を描いた作品があります。制作は1920年となっていましたので、ダリのアーティストとしての活動の初期の作品となります。ROOM3は「語らい」。この部屋はダリの作品から少し離れて「P・J・クルック」の作品が多く展示されています。創設者の諸橋氏は1995年にパリでクルックの個展を見て魅了され、その個展の作品を全て購入したとの逸話があるそうです。それ以来、クルックとこの美術館との関係が深まり、多くの作品を収蔵するようになっているとのことです。話しはそれますが、クルックはイギリスのプログレッシブロックバンド「キング・クリムゾン」のCDジャケットも手掛けているそうです。(クルックはイングランド出身です)ROOM4は「材質」。この部屋では作品の材質に注目しています。アートでは材質の制限はありません。何を使ってもいいのですが、材質によっては脆いものもありますし、変質しやすい物もあります。美術館や学芸員はどうすれば作品の質を悪化させずに展示をするかを常日頃から考えて工夫しています。そういった実験的な展示もされた部屋です。ROOM5は「プロセス」。ここではダリの創作のプロセスを時間の空間の視点から捉えており、ダリの造形思考を辿るために、ブロンズ彫刻の魅力を理解してもらうための展示がされています。例えば「象」と「白鳥」が一つになるイメージはわきますか?ダリにはリアルにイメージがわいてくるのだと思います。ROOM6は「スキャンダラス」。アーティストは少し(かなり)変わった人が多いっていうイメージはありませんか?でもそれは彼らの苦悩や葛藤、秘密やフェティシズムがあり、それらの知ることで凡人である人たちとの接点を見出すことができるのではないかという考えから、この部屋の展示はされています。そのスキャンダラスの具体例を知ってもらうためだと思うのですが、会場内で「スキャンダラス新聞」なる冊子が置かれていました。もちろんハルはそれを手に取ってじっくりと読んだのですが、ゴッホユトリロやパスキンの奇行が数多く書かれていました。

ダリになりきる?

この美術館の会場入り口で係員が箱を持って立っていて、「よかったらどうぞ!」と見せてくれたのですが、何と中にはマスクの上に貼り付けできるヒゲシールが入っていました。4~5種類くらいあったのですが、小心者のハルは一つしか取ることができず、恥ずかしいので会場の中でこのヒゲを付けることが出来ませんでした。ただ、周りを見回しても、会場入り口でもらったヒゲをマスクに付けている人は見かけませんでした。みんな恥ずかしかったのでしょうか。

多くの美術館がそうであるようにこの諸橋近代美術館でも内部の写真撮影は禁止でした。でも美術品は写真で楽しむではなく、実物を見て楽しむ、感動する、興味を持つものだと思います。ハルは関東地方に住んでいるのですが、それでも片道車で4時間以上かかる場所にあります。思い立ってちょっと行ってみようという訳にはいかない距離ですが、あまり知られていない美術館だと思いご紹介しました。ただ、開館期間が決まっているので行かれる方はお気をつけください。

それではまた。。。