美術館・博物館に行ってみた。No.5「ピカソとその時代」国立西洋美術館

世界遺産

東京、上野公園にある西洋美術館。ここは今年(2022年)の春まで改修工事のため約1年半の休館が明けて、久しぶりに公開されるようになりました。建物だけでなく前庭にあるロダンの考える人も場所が変わり、植栽も開園当初の状態に戻すために撤去されていました。本館の設計はル・コルビジエです。そして世界遺産として「ル・コルビジエの建築作品」の一つとして世界的に知られています。リニューアルオープン記念としては2022年9月まで「自然と人のダイアローグ」のタイトルでモネやゴッホなどの展示があったのですが、今回観に行ったのは「ピカソとその時代」ベルリン国立ベルクグリューン美術館展です。

ピカソからマティスセザンヌ

展示の中心はパブロ・ピカソポール・セザンヌパウル・クレーアンリ・マティス、アルベルト・ジャコメッティジョルジュ・ブラックの作品だけというかなり思い切った内容となっています。ここまでアーティストを絞った展覧会は観たことがなかったです。大抵はメインのアーティストがいて、それ以外に多くのアーティストの絵画が展示されるケースが多いのですが、特にパブロ・ピカソが多作ということもあり、この6人だけで展覧会が成り立ってしまっています。100点以上の作品のうちパブロ・ピカソの作品は私が観に行った日では46点ありました。パブロ・ピカソと言ってどの時代を思い浮かべるでしょうか。彼は時代によってかなり作風が異なり、いつ頃描かれたかは絵を観ればある程度判断が可能な場合も多いです。今回は1900年代から1940年代までの作品でまとめられており、キュビズムとのかかわりについて多くの内容を割いていました。絵画の潮流について詳しいことは知らないのですが、どの時代においても新しい流れを作ろうとする人はどんどんと出てくるので、後になって振り返るとあの時がターニングポイントだったんだと改めて感じるのではないでしょうか。

ベルクグリューン美術館

ベルクグリューン美術館は1996年に美術商であったハインツ・ベルクグリューン(Hainz Berggruen)がベルリンにアパートメントを購入して、そこで美術館を開いたそうです。ピカソの絵画が多いので別名「ピカソ美術館」と称されたとのことです。一人の美術商がこれだけの絵画を収集するとなると、かなりの財力やネットワークがないとできないと思われますが、西洋では芸術に対しての理解が進んでいることを感じます。そして現在では「国立」となっていることからみると、国も芸術の理解がすすんでいるのだという事を強く感じます。日本においてもこの「西洋美術館」は松方幸次郎が収集した19世紀から20世紀前半の印象派を中心としたコレクションが基礎となっています。20世紀前半の西洋絵画の流れをつかむのにはとても良い参考になる展覧会だと感じました。

話しは変わりますが、上野公園はいつ行っても人がたくさんいます。土曜日に観に行ったこともあるのでしょうが、家族連れ・カップルが多く、多くの人たちの憩いの場となっています。「西洋美術館」以外にも「東京都美術館」「上野の森美術館」や「国立博物館」「科学博物館」など見て回る施設が盛りだくさんです。そうそう、子供連れには「上野動物園」もありました。私も時間があればパンダを見たかった(笑)何度行っても楽しめる公園です!

美術館・博物館に行ってみた。No.4「岡本太郎展」

本職は人間だ!

岡本太郎」をご存じの方はある程度の年齢以上か、美術・芸術に興味のある方だと思います。1970年に大阪で開催された「万国博覧会」のテーマ館に建てられた「太陽の塔」をデザインした芸術家が岡本太郎です。彼は1911年(明治44年)に神奈川県の川崎市に生まれました。今、その川崎市には「岡本太郎記念館」があります。父親は人気漫画家の岡本一平、母親は歌人・小説家の岡本かの子です。幼い頃から独自の考え、行動から周囲になじめずに転校を繰り返していたそうです。入学した東京美術学校(現在の東京藝術大学)も中退してパリで最先端の芸術に触れました。その後日本に戻ってから旺盛な創作活動で多くの作品を発表したり、文筆活動を通じて国民的な人気を博しました。TVコマーシャルにも出演して「芸術は爆発だ!」などの流行語を残したりしています。あるインタビューで「何が本職なのか?」と聞かれた岡本太郎は「人間―全存在として猛烈に生きる人間」と答えたそうです。

見ごたえあり!

岡本太郎の名前は知っていてもどんな作品があるのかということは詳しくは知りませんでした。大阪万博には行ったことがなかったため、「太陽の塔」は写真や名前で知っているだけですが、とてもユニークなアーティストなんだ程度にしか知識はありませんでした。彼の作品は大きなキャンパスに大胆な構図でデフォルメやキュビズムを取り混ぜた、色鮮やかなものが多いです。初期の頃の作品には肖像画なども書いたことはあるのですが、大半が抽象画と言ってもいい作品となっており、どの作品も説明がないと何を意図した絵なのかを把握することが難しい・・・ ただ、全体を通じて岡本太郎の気迫が大きく迫ってくるのがヒシヒシと感じられるとても充実した展覧会だと感じました。

絵画の次に多く展示されていたのは「太陽の塔」に代表される立体作品です。作品の多くはFRPで作られていました。一部だけブロンズ作品もあります。FRPとは繊維強化プラスチックの略で強化繊維と樹脂を混ぜ合わせて作るそうです。航空機や船舶、生活用品ではお風呂などに使われているとのことでした。「太陽の塔」にも特徴の一部が表れていますが、円錐のような形状が生き物のように伸びたりくねったりしていますが、その根源は縄文式土器に要因の一つがあるようです。彼は1951年に国立博物館で縄文火炎土器を見て大きな衝撃を受けたようで、日本美術史は縄文時代から語られるようになったといわれるようになりました。絵画にもその特徴は表れていますが、形で表現しないといけない立体作品にはそれ以上の特徴が感じられます。今回の展覧会に限らず彫刻なども手で触れることは禁止のことが多いですが、今回唯一触れることが出来る作品があります。「座ることを拒否する椅子」という作品です。日常生活で椅子に座ることは多くの場面であります。私も会社では椅子に座って仕事をしていますが、ある会社では会議は立ったまましているそうです。それは、人間は座ると落ち着いてしまい、そのまますべてを放棄してしまいたくなるものですが、長い人生の中で常に前を向いて動き続けてきた岡本太郎にとって、座ることは必要がない、あるいは座るとしてもほんの一瞬でよく、長く座ることができる椅子は必要なかったのではないかと考えられます。確かにその椅子の上部は半球のように丸くなっているので座りにくく、長く座るためには作られていません。私は座りませんでしたが、作品を見ていてもゆっくりと座ろうとしている人はほとんどいませんでした。

今回の岡本太郎展は、2011年に岡本太郎生誕100年を記念して開催されて以来の大規模な展覧会です。今、国内で岡本太郎の作品をまとめてみることが出来るのは、川崎市にある「岡本太郎美術館」と東京の青山にある「岡本太郎記念館」ですが、これだけの作品を体系的にまとめてみることができる機会はしばらくないのではないでしょうか。

東京周辺にお住いの方はご存じかと思いますが、彼の作品を手軽にみられる場所が一つあります。JR「渋谷」駅から京王「井之頭」線に向かって歩いていく途中の支部マークシティの入口辺りの壁に「明日の神話」が壁一面を使って飾られています。この作品は原爆が爆発した瞬間を表現した作品だそうです。彼の作品には同様の反原発反戦をモチーフにした作品がある、彼の平和に対しての思考を伺うことが出来ます。東京周辺にお住まいの方、あるいは東京に用事があって来られた方は、ぜひ一度「明日の神話」をご覧になってください。

渋谷にある「明日の神話

東京での展覧会が終了したら、2023年1月14日~3月14日まで名古屋市の「愛知県美術館」で開催されるそうです。東海地方の方は楽しみにしていてください。

美術館・博物館に行ってみた。No.3「諸橋近代美術館」ダリ好き必見!

ダリ好き必見です

会社の夏季休暇を利用して「諸橋近代美術館」に行ってきました。どこにあるの?と思われる方も多いかと思います。ハルも数年前までは全く存在を知りませんでした。場所は福島県北塩原村桧原字剣ケ峯1093番23にあるのですが、住所を見てもよくわからないと思うので、猪苗代湖近くの会津磐梯山の横にあるといった方がわかりやすいと思います。開館は1999年6月。創設したのはスポーツ用品販売で知られた「ゼビオ」の創立者である諸橋廷蔵氏。彼のコレクションを中心に設立された財団が運営しています。そしてこの美術館は会津磐梯山の近くにあるため冬は雪が積もるため、開館期間が春から秋までの開館となっていて、今年は2022年4月27日から11月13日までだそうです。

何といってもこの美術館の見どころは、シュルレアリスムの巨匠、サルバドール・ダリの作品です。絵画はもちろんブロンズ像なども含めて何と約340点を所蔵しています。ダリは多作のアーティストとして知られていますが、ダリの収蔵数は世界で4番目に多い美術館だそうです。もちろん日本では一番です。

今年の展示は

今年は館内を6つの区画に分けて、学芸員がテーマを決めて展示内容を変えていました。まず、ROOM1は「コレクター」。創業者の諸橋氏は美術館が開館する前から当然コレクションをしていたのですが、彼の作品への思いを中心に展示されており、彼がダリの作品を収集しようとしたきっかけとなった「ダンス(ロックンロール)・セブン・ライブリー・アーツ」が一番初めにあります。ダリの圧倒的なアイデアとテクニックがつまった作品で多くの人の目を引いていました。この部屋にはダリ以外にピカソシャガールルノワール、そして藤田嗣治など多くの著名な近代西洋絵画が展示されています。ROOM2は「ダリ」。この部屋はダリの作品がほぼ全てに近くを占めているのですが、多くの人がイメージするダリの作品とはかなり違っていると思います。ダリにとって母親はとても重要な存在で、母親の肖像を描いた作品があります。制作は1920年となっていましたので、ダリのアーティストとしての活動の初期の作品となります。ROOM3は「語らい」。この部屋はダリの作品から少し離れて「P・J・クルック」の作品が多く展示されています。創設者の諸橋氏は1995年にパリでクルックの個展を見て魅了され、その個展の作品を全て購入したとの逸話があるそうです。それ以来、クルックとこの美術館との関係が深まり、多くの作品を収蔵するようになっているとのことです。話しはそれますが、クルックはイギリスのプログレッシブロックバンド「キング・クリムゾン」のCDジャケットも手掛けているそうです。(クルックはイングランド出身です)ROOM4は「材質」。この部屋では作品の材質に注目しています。アートでは材質の制限はありません。何を使ってもいいのですが、材質によっては脆いものもありますし、変質しやすい物もあります。美術館や学芸員はどうすれば作品の質を悪化させずに展示をするかを常日頃から考えて工夫しています。そういった実験的な展示もされた部屋です。ROOM5は「プロセス」。ここではダリの創作のプロセスを時間の空間の視点から捉えており、ダリの造形思考を辿るために、ブロンズ彫刻の魅力を理解してもらうための展示がされています。例えば「象」と「白鳥」が一つになるイメージはわきますか?ダリにはリアルにイメージがわいてくるのだと思います。ROOM6は「スキャンダラス」。アーティストは少し(かなり)変わった人が多いっていうイメージはありませんか?でもそれは彼らの苦悩や葛藤、秘密やフェティシズムがあり、それらの知ることで凡人である人たちとの接点を見出すことができるのではないかという考えから、この部屋の展示はされています。そのスキャンダラスの具体例を知ってもらうためだと思うのですが、会場内で「スキャンダラス新聞」なる冊子が置かれていました。もちろんハルはそれを手に取ってじっくりと読んだのですが、ゴッホユトリロやパスキンの奇行が数多く書かれていました。

ダリになりきる?

この美術館の会場入り口で係員が箱を持って立っていて、「よかったらどうぞ!」と見せてくれたのですが、何と中にはマスクの上に貼り付けできるヒゲシールが入っていました。4~5種類くらいあったのですが、小心者のハルは一つしか取ることができず、恥ずかしいので会場の中でこのヒゲを付けることが出来ませんでした。ただ、周りを見回しても、会場入り口でもらったヒゲをマスクに付けている人は見かけませんでした。みんな恥ずかしかったのでしょうか。

多くの美術館がそうであるようにこの諸橋近代美術館でも内部の写真撮影は禁止でした。でも美術品は写真で楽しむではなく、実物を見て楽しむ、感動する、興味を持つものだと思います。ハルは関東地方に住んでいるのですが、それでも片道車で4時間以上かかる場所にあります。思い立ってちょっと行ってみようという訳にはいかない距離ですが、あまり知られていない美術館だと思いご紹介しました。ただ、開館期間が決まっているので行かれる方はお気をつけください。

それではまた。。。

美術館・博物館に行ってみた。No.2「メトロポリタン美術館展」

 

国立新美術館

今回は国立新美術館で開催されていた「メトロポリタン美術館展」に行ってきました。

当日は雨だったので外観などの写真は撮らなかったため、設計した「黒川紀章建築都市設計事務所」HPに載っている写真を利用させていただいています。

 

外観(黒川紀章建築都市設計事務所HPより)

まず、この美術館は日本で5番目の国立美術館として2007年(平成19年)1月に開館しました。建物の設計は日本を代表する建築家、黒川紀章氏です。地下1階地上4階で地下鉄千代田線「乃木坂」駅から直結されていて、私も「乃木坂」駅からこの美術館へ入りました。ただ「乃木坂」駅からだととても便利なのですが、美術館の外観を観ることが出来ないため、外部の写真を使わせていただきました。写真を見ての通り、ガラス面を多く取り、曲面を多用した近未来の雰囲気のある建物となっています。内部もカフェやレストランなどがあり、とてもおしゃれ空間となっています。デートスポットとしてもいいかもしれません。

ただ、私がこの美術館を好きになれない点が一つあります。それは美術館というネーミングです。実はこの施設は美術館と名乗っているにもかかわらず収蔵品がないんです!美術館の定義としては、美術作品を収集・保存・展示しそれらに関する研究・教育を行う場所です。それをわかっているこの美術館開設にかかわった人たちは、国内では「国立新美術館」というネーミングですが、海外向けには「ナショナルアートセンター トウキョウ」というネーミングになっているそうです。私からするとここは単なる展示すぺースにすぎず、絵画を展示している期間は画廊と一緒だと思っています。でも、この建物は先ほども書いたようにとてもステキで、何度でも訪れたい場所となっています。

展示内容

今回の「メトロポリタン美術館展」はサブタイトルが「西洋絵画の500年」となっています。15世紀のルネサンス絵画から、17世紀の北ネーデルランド絵画、19世紀のロマン派、印象派まで幅広い年代の代表的な作品が展示されています。ルネサンス絵画の巨匠フラ・アンジェリコやフラ・フィリッポ・リッピなどのルネサンス絵画は、宗教を題材としたものが多く、絵画を使って布教活動を進めようとしていたことがよくわかります。宗教色が強い絵画の流れはイタリアからオランダに移り、ルーベンスレンブラントがよく知られています。また近年日本で人気のフェルメールも17世紀のオランダで作品を描いていました。この時代の絵画はかなりリアリズムを追求した作品が多く、前回のブログで「ホキ美術館」のことを書きましたが、「ホキ美術館」に収蔵されてもおかしくない写実主義の作品が数多く生み出された時代でもあります。その後近代のイギリスやフランスに中心が移り、日本人が好きな印象派と言われる画家たちが活躍した時代に移ります。この時代は日本の浮世絵が大きな影響を与えたことは多くの研究者が指摘をしていますし、当時の画家たちも自分たちは浮世絵をリスペクトしていることを公言もしていました。特にクロード・モネは自分の家の庭を日本風にしたほど、大きな影響を受けていました。

この「メトロポリタン美術館展」は、アメリカ、ニューヨーク州にあり1870に開館した美術館で、収蔵品数は300万点以上と世界でも有数の大きさの美術館となっているそうです。残念ながらこの美術館にはいったことがないのですが、1日では見切れない作品が展示されているそうなので、一度は行ってみたい美術館の一つです。

ミュージアムショップ

美術館に行ったときの楽しみの一つがミュージアムショップです。購入することはあまりないのですが、この「メトロポリタン美術館展」では面白い機械が置いてありました。プリクラはご存じだと思いますが、自分の顔を撮影して展覧会で展示されていた絵画の1枚の顔にはめ込むというアトラクション?イベント?をやってました。それが下の写真です。

誰が私でしょう?

元の絵画はジョルジュ・ド・ラ・トゥールの「女占い師」です。(1630年代)

元の写真と見比べていただけるとすぐにわかります(笑)このようなのは初めてでした。

それでは、また!

美術館・博物館に行ってみた。No.1「ホキ美術館」

はじめに

こんにちは!このブログを読んでいただきましてありがとうございます!

始めたばかりなのでどのように書いたらいいのか全くわかりませんが、思いつつままに書いてみます。

ハルは関東地方に住む50代のおじさんです。自分ではおじさんではないと思ってはいますが、周りの人たちは確実に私をおじさんだと感じているはずです。

絵心は全くないのですが、絵を見ることは若いころから好きで、いろいろな展覧会に行ったりしていたのですが、30代40代になると仕事や家庭でいろいろとやることが多くなり、自分の時間が取れずに美術館から足が遠のいていたのですが、50代になり仕事や家庭もある程度は落ち着いてきて自分の時間が作れるようになりました。そんな時にやってみたい事の一つが「美術館」「博物館」などを訪れて芸術を鑑賞することで、心を落ち着かせることです。場合によっては興奮してしまうかもしれませんが。。。

 

行ってみたかった美術館

「ホキ美術館」は千葉県千葉市緑区にあります。最寄り駅はJR外房線「土気」駅ですが、駅から歩くとけっこうあるのでバスがお勧め!私は車で行きましたが、GW真っ只中でしたので、一般道もかなり混んでいて、予定より30分以上遅れてしまいました。この時期高速道路は混むだろうとは思っていたのですが(交通情報では10キロとか15キロ渋滞と言ってました)駐車場は目の前にあり、受付で駐車券を出すと無料になります。まず、この美術館の特徴は外観からして「アート」なんです!

駐車場から入口(エントランス)への途中にはこの写真のようにツンツンとした鉄棒が何本も。柵の機能と周辺の杉並木をリンクするオブジェとして作られたとのことでした。

エントランスへの通り道

裏側に回るとても不思議な外観を見ることができます。

裏側から見た外観(近未来の建物みたい)

前日にWEBで入場時間の予約をしていたので入館はスムースにできました。予約しないで来ていた人たちも結構いたようで、でもその日は1時間程度待てば入館できるとの案内がされていました。料金は大人1,830円です。

 

館内のギャラリー

館内は9つのギャラリーに分けられています。ギャラリーごとのテーマや内容が違っており、でも大半が写実絵画が展示されています。1つのギャラリーだけ陶磁器が置かれていましたが、写実的な作品ではなかったので、なぜここに陶磁器が置かれているのかは不明です。でもちょっとした箸休め的なコーナーになっています。

私が一番期待して見たかったのは、どこまで絵画で写実的に描けるのか、ということです。全体として17世紀ころのオランダを中心とした写実絵画のような静物画も多いのですが、女性のポートレートの写実性には驚かせられます。私が特に惹かれたのは「三重野慶」の作品です。女性の髪の毛の質感がほとんど写真と変わりなく見えます。この美術館の作品は絵のすぐ近くまで近寄って見ることが出来るのですが、三重野慶の絵を間近で見ると普通に色を塗っただけに見えるのですが、離れて見ると写真そのものです。離れて見た時の見え方を考えた描き方なんでしょうか、どうすれば写真のように見せられるのかとても不思議に感じます。

ホキ美術館について

話しが前後しますが、この美術館についてですが、2010年11月3日に世界でもとてもまれな写実絵画専門美術館として開館しました。コレクション数は約500点。創設者は「株式会社ホギメディカル」創業者の保木将夫です。この「ホキ」は創業者の苗字なんです!創業者の肖像画も2枚展示されていました。もちろん写実絵画で!

以前私は千葉市緑区に住んでいたことがあり、近くにできたのは知っていたのでずっと行きたいと考えていたのですが、なかな時間が許さずに時間ばかりが過ぎていきました。そして数年前にようやく行こうかなと思ったときは、千葉県各地が台風の被害が出て、この美術館も一部が水没してしまいメンテナンスのためしばらく休館していた時期でした。そのため、またしばらく時間が空いてしまい、ようやくこのGWに10年越しくらいの期間を空けて見学することができました。

建物も素晴らしかったですし、展示作品もとても興味深い絵画が多く、とても楽しめました。お近くにお寄りになる機会がありましたら、ぜひ見てみて下さい。

なお、美術館や絵画についての感想はすべて私の個人的な見解です。

それでは、次の美術館でお会いしましょう!

 「ホキ美術館」

千葉県千葉市緑区あすみが丘東3-15

電話:043-205-1500

https://www.hoki-museum.jp