こんなコンサート行きました「吉原麻実、2大ピアノ協奏曲を弾く」

ピアノだけで演奏するピアノ協奏曲

ピアノ協奏曲といえば、オーケストラをバックに演奏するピアノ曲ですが、今回聴いてきたのはオーケストラパートをピアノで演奏して、ピアノ協奏曲を弾くコンサートです。演奏された曲もショパンの「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調作品11」とチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番 変ホ短調作品23」の2曲で、誰もが聞いたことのある有名な曲です。

演奏は吉原麻実さん。彼女は武蔵野音楽大学と同大学院を主席で卒業。様々なコンクールに上位入賞。この10月からはドイツのミュンスター音楽大学国家演奏家資格課程に進学予定の、将来活躍が期待される若手ピアニストです。オーケストラパートを演奏するのは、大島 夕季さん。吉原さんと同じ栃木県出身で幼い頃から同じピアノ教室に通い、大学も大学院も一緒という気ごころが知れた二人です。

2台のピアノ

場所はJR「日暮里」駅から徒歩2分にある「アートホテル日暮里」の4階にある「日暮里サニーホール」です。ホテルの中にあるホールなんて初めてでした。ホールの中に入るとステージには2台のピアノが置かれており、後で確認してみるとソロの吉原さんが弾くピアノは「ベーゼンドルファー」、オーケストラパートを弾くピアノは「ヤマハ」でした。なぜ違うピアノなのかと思いましたが、確認するすべもなくそのままになっています。ホール側の都合で同じピアノが準備できなかったのか、あるいは演奏者の希望のピアノだったのでしょうか。

 

 

演奏を聴いてみると、ベーゼンドルファーは柔らかな音色と響きなのに対して、ヤマハははっきりとした音でベーゼンドルファーに比べると硬い音に聞こえました。

演奏始まりました

1曲目はショパンです。昨年、5年に1度開催されるショパン国際ピアノコンクールの本選では、ファイナリストは1番か2番を選んで演奏するのですが、多くのファイナリストが1番を演奏していました。2位に入った反田さん4位に入った小林さん、二人とも1番を演奏していました。この曲は、始めはオーケストラパートがかなり長く続き、ピアノはいつ入るのだろうというくらい待たされます。待って待って待ってから出される初めのピアノの音は力強く深い哀愁を感じさせます。2楽章はとてもきれいな旋律が続き、3楽章でピアノとオーケストラの融合が高まり、華やかなクライマックスで曲が終わります。よかったです!

その後20分の休憩。

2曲目はチャイコフスキー。この曲も誰もが聞いたことのある有名な出だしです。スケールの大きな和音で始まるこの曲は、いつ何度聴いても心が揺さぶられます。とても美しい出だしです。2楽章は優しい旋律が続き、3楽章は躍動感あふれる旋律と、圧倒されるクライマックスです。こちらもとてもよかったです。

どちらが主導するのか

通常、ピアノ協奏曲はソロピアニストがいて、オーケストラを指揮する指揮者と呼吸を合わせて演奏しますが、今回のようなピアノソロと、オーケストラパートを弾くピアニストがいる場合、どのように曲全体をコントロールするのだろうという素朴な疑問がありました。実際に演奏を聴いてみると、どちらが主導で演奏するのでもなく、自然と呼吸を合わせた演奏となっており、自然な響きとなって聞こえてきていました。この二人が子供時代からずっと一緒にピアノを弾いてきたからでしょうか。このことについては、主催の大久保音楽事務所HPのインタビューの中でも触れられていますので、ご興味のある方は読んでみて下さい。

アンコールはガーシュインの「ラプソディーインブルー」を一部を、連弾で演奏してくださいました。またそのあとは、吉原さんのソロでもう一曲演奏がありました。曲名を確認できませんでした。。。

この2つのピアノ協奏曲のピアノだけの編曲版を聞くことが出来てとてもよかったです。編曲が誰なのかを確認することはできていないのですが、いずれにせよ私のような素人には、オーケストラと演奏してもピアノだけの演奏でもとても充実した時間を過ごすことが出来ました。演奏していただいたお二人に感謝とねぎらいを送りたいと思います。