こんな本読みました。「罪と罰」読了! ドストエフスキー

初めてのドストエフスキー

恥ずかしながら、50代にして初めてドストエフスキーを読みました。「罪と罰」です。軟弱なため「カラマーゾフの兄弟」は長そうなので次回に持ち越しています。

この「罪と罰」は現在文庫本で多くの出版社から出されています。「新潮文庫」「岩波文庫」「光文社文庫」「角川文庫」「中公文庫」。それぞれ翻訳者も違い、今回私は工藤精一郎訳の「新潮文庫」版を読んでみました。なぜ「新潮文庫」なのかというと大した理由はなく、新潮社の本が以前より好きだからという程度です。

翻訳について

私はロシア語を勉強したことはないので当然原書で読むことはできないので、翻訳本を読むことになります。海外の小説(小説だけではありませんが)は翻訳者次第でその本の印象がかなり変わってきます。私も20代の頃通信教育で英語翻訳の勉強をしたことがあるのですが、日本語への言い換えの難しさなどで断念した覚えがあります。翻訳は語学力だけでなく、文章力・想像力・理解力など文章にかかわる総合的な能力が必要だということはよく理解しているつもりです。ですから翻訳が上手い・下手という判断はしませんが、自分にとって読みやすいか、読みにくいか。あるいは自分にとって理解しやすい表現か、そうでないかによってその小説の判断をすることになります。「罪と罰」も5種類の文庫本が出ているので、それぞれ読み比べて自分にとって読みやすいものを読み進めるという方法が取れたら一番いいのでしょうが、時間も費用もかかるのでそうもいきません。今回読んだ「新潮文庫」版もとても原文に沿って翻訳しているんだなということが読み取れる翻訳だったのですが、途中まで読み進めたときに「他の翻訳はどんな感じなんだろう」と思い、いつも行く本屋さんで「岩波文庫」版を立ち読みしてみました。残念ながら私にとっては「岩波文庫」版の方が、ほんの一部を読んだだけでの判断ですが、読みやすかったと感じました。

翻訳者の考えとして、原文に忠実に翻訳するという人もいるでしょうし、日常つかわれている日本語に置き換えて翻訳するという人もいるでしょう。少し前に早川書房から出版されて「プロジェクト・ヘイル・メアリー」というSFを読みました。著者はアンディ・ウィアーという方で、「火星の人」という作品も書いています。この作品はマットデイモンが主演した「オデッセイ」という映画の原作本です。「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は私にとってとても読みやすく、上下2巻の本でしたが、かなりのスピードで読了することが出来ました。この翻訳は原文に忠実に訳すのではなく、一度直訳した文章を、現代の日本語の話し言葉に近い意味に置き換えて翻訳をしているように感じました。

スピード

罪と罰」の内容はいくつものサイトなどで書かれているので、結論をご存じの方も多いとは思います。主人公の「ラスコーリニコフ」が金を取るために金貸しの老婆とその娘を斧で殺してしまい、最後は自分の罪を認めてシベリアの刑務所に入るという内容です。この話しを進めるために、サイドストーリーがいくつも出てくるのと、一つ一つのセリフ・会話が長いため、長編小説になっています。「ラスコーリニコフ」の心理を考察すると、殺人に至るまで、その後どのようにしたらいいのかの葛藤、そして罪を認めて自首するまでの心理描写がこれでもか、と続く小説です。殺人を犯してから自首するまでの文章がこの小説の大半を占めるのですが、自首してからの後に内容はかなりはしょっていて、同じ小説とは思えないくらいの進み方でした。

ロシア文学って

私は学生時代に「ドイツ文学」を勉強していました。「ロシア文学」は全くといっていいほど興味はなかったです。今回のドストエフスキートルストイチェーホフツルゲーネフなど、長くて暗い小説が多いという印象しかありませんでした。ですから食わず嫌いで読もうともしなかったのですが、50代になり今まで読んできた小説を振り返るとほとんど海外の名作といわれる小説を読んでないということを意識するようになり、人生も後半になってきていることもあり、生きているうちにできるだけ読んでみようという気持ちになって読み始めたのです。「もうとっくに読んでるよ」という方が多いとは思いますが、硬軟取り混ぜて読書生活を楽しみたいと考えています。

罪と罰新潮文庫©